ハーレーダビッドソン

ハーレーダビットソン 47FL(EL)

車両の情報(車検証から)


とにかく美しくレストアされた47ナックル。
(2008.9.24 奥多摩駐車場にて)
  • 社名:ハーレーダビットソン
  • 型式:不明
  • 原動機の形式:47EL
    ※純正FLフライホール、FL用シリンダーに交換したため1200cc(ピストンは020オーバー)
    ※クランクケースNO.47EL1xxx(マッチング)

車両を前にして...

2008.09.24

ようやく夏の暑さも収まり、
少しずつ朝晩の冷え込みも感じるようになった9月24日。
カラっとした晴天の中、47ナックルの試乗となった。

この車両を間近にした第一印象は、
「とにかく細部までこだわり貫いたレストア...」

おそらくこれは、私だけの所見ではなく、
誰が見ても100%そう思うはずだ。

当時の新車をイメージして、何台ものハーレーを乗り継いできたオーナーと、
年間二桁のエンジン修理を請け負う制作者が、
こだわりにこだわり抜いて仕上げた一台がここにある。

ここで、制作者から聞いたレストア内容の一例を挙げるなら、
フレームやスプリンガーなど、車体廻りの黒い部分は、下地にパウダーコートを施したラッカー塗装。

なるほど、
パウダーコートに有りがちな、表面がボテっとした感じや、
白っぽく見える感じはまったくない。

タンクやフェンダーなどの落ち着いたベージュ色はウレタン塗装。
こちらもやはりボテっとした感じがなく、
腕のいい職人がクリアーを使わずに仕上げた、ごまかしの効かない技術だ。

純正スポークは、1本1本、ブラスト下地処理後にジンク(亜鉛)メッキ。
さらに、ナット類や皿ネジなどは、パーカライズ(黒サビ)加工が施されている。

そして、オーナーがこだわったメッキ部品の再生。
これには、当時の質感を再現するために、白っぽく光るニッケルメッキを採用している。

レストアから1年半が経過した現在、
写真でもお分り頂けるように、これらのメッキ部品は
当時から付いていたようないい感じの風合いに変わってきている。

ちなみに、車台番号は職権打刻だが、
フレーム中央上面に打たれているため、シートに隠れて見えない。

もちろん、この車両のレストアは外観だけでなく、
エンジンや機構部品など、ほとんど全バラにしたオーバーホールが施されている。

本来、EL(1000cc)であったエンジンは、
オーナーの要望により、純正FLのフライホイールに変更されて1200ccに。

その他、
腰下、ヘッド、ミッション、オイルライン、フレーム、スプリンガーフォーク、ブレーキ、足回り、電送など、
すべてにおいて、点検とオーバーホールがなされている。


 

まず、なんといっても車体の軽さが際立つ47ナックル。

私の個人的感覚だが、グライドフォークは安定性に富んでいるが、
ハンドリングの軽さや、取り回しの軽さという点では、
やはりスプリンガーに軍配が上がる。

そのため、足元が悪いジャリ道などであっても、
とにかく扱いやすい。

エンジン始動は、いとも簡単。
まだまだ気温が高いこともあり、チョークは使わずに空キック3発。

天下時期は最も進んだ位置から少し戻したあたりに合わせ、
アクセルを少しだけ開けて、
本キック...

エンジンは一発で目覚める。

エンジン始動の一部始終は、こちらの映像でお伝えしています...

私自身、ビンテージモデルに跨るのは久しぶりだが、
跨って、まず思うのは車高の低さ。

足はベッタリ着く。

この足つき性の良さは、シングルシートの形状によるところもあるが、
身長174センチの私で、ヒザが余るほど。
おそらく、私よりかなり身長の低い方でも、容易に足が地に着くはずだ。

そして、手前に引けたハンドルやフートボード。
これらにより、ビンテージモデルならではの乗車姿勢が生まれる。

この乗車姿勢は、
現行バイクモデルからすれば独特という感じがあるかもしれないが、
私からすれば、こっちの方が普通な気がするし、疲れない。

モデファイ

この車両には、オーナーと制作者が狙ったモデファイ(改良点)が二つある。

ひとつは、フロント18インチの採用。
この狙い通り、とにかくフロント廻りが軽快で乗りやすい。

もちろん、スプリンガー自体もオーバーホールが施され、
しっかりしたダンパーが着いているのはいうまでもないが、

スプリンガーの車両に有りがちな、フロントのフワフワ感は全く感じない。


写真左:フロント18インチは、46ナックルから移植された純正品
写真右:純正バッテリーの内部をくり貫いて、12ボルトMFバッテリーが装着される

もうひとつは、電装の12ボルト化。

当時のままの6ボルト電装に不具合があるということではないが、
今日入手できる6ボルトバッテリーは、製品にバラツキがある。

それに、12ボルトMFバッテリーなら起電流が強い。

バッテリーの起電流の強さは、
エンジンの始動性や低回転時の安定性の向上につながる。

これなら、月に1、2度しかバイクに乗る暇がないという、
忙しいオーナーでも、気軽にガレージに足が向くだろう。

もちろん、ヘッドライトが明るいのはいうまでもないだろうが、
純正6ボルトバッテリーの内部をくり貫いて、MFバッテリーを仕込むあたりは、
制作者とオーナーのこだわりが伺える。

初秋の奥多摩へ

左足のロッカークラッチで、軽く半クラをあて、
シフターを手前に引く。

「タンッ!」
小気味いい音ともに、ギアが1速に入る。

左手の進角、右手のアクセルを同時に開けながら、
クラッチをつなぐ。

ナックルは、力強く走り出す...

クラッチの切れ、シフターの動き、ギアの入り、ブレーキの効き具合など、
すべての操作において不安感はまったくない。

見通しのいい場所で、ハンドルから両手を離してみる。

車体がどちらかに振られるようなこともなく、
ナックルはひたすら真っ直ぐ走っていく。

このあたりは、さすが。
完璧に仕上げられた車両だ。

交差点を曲がれば、普段私が車両の力具合をテストする小峠。

レストア後の走行距離は約1000マイル。(1600km)
いまだ慣らし中の状態にあるということから、少しだけ気を使ってアクセルを開けてみたが、
エンジンは予想以上に軽く廻る。

そして、それに伴う加速感...
いままで私が知り得たビックツインの走行感覚とは、
また違った感じが心を躍らせる。


初秋の乾燥した空気と、いまだ少し強い日差しを浴び、
車のまばらな道を奥多摩へ向かう。

車の後ろでは、40、50キロ。
単独では、60、70キロのスピードで流していく。

ゆっくりと走る車の後ろでも、イライラすることはない。

こんな時は、景色でも眺めながら、
乾いた風と日差しを楽しめばいい。

ギアは3速。
アクセルはそのままに、
進角で速度を調整しながら、のんびりと走る。

実際、峠道を走るなら、トップギアを使うことは数少ない。
3速までで事足りる。

おそらくこの車両の感じなら、
高速道路でもいいペースで巡航できるだろう。

Tシャツ一枚で乗れるのは、たぶん今日が最後。
目前に広がる緑を楽しみながら、47ナックルは快調に走る...


とまぁ、
こんな感じで、47ナックルと過ごした至福の時だったわけですが、
文章によるインプレはこのへんで...

あとは、映像でお楽しみください...

60年前に生産されたモーターサイクルが、ごく普通に走る姿をご覧になってください。


奥多摩からの帰り道。電送12ボルトは、ライトも明るく快適です。


走り出してからここまでの道のりは1時間程。
エンジンが冷えている時より多少音が出ていますが、
ソリッドタペットのエンジンにしては、かなり静かな部類のエンジンだと思います。
音の具合やアイドリングの安定具合など、観てみてください。